知っておきたい「控除」
知っておきたい「控除」
相続の際に、税金がどれくらいかかるかは切実な問題ではないでしょうか。ここでは利用できる控除について見ていきたいと思います。
まずは税額計算する際に、遺産額の中から必ず引いてもらえるものが「基礎控除」であり、約9割はこの枠内で遺産がおさまるケースがほとんどです。金額を算定する式は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」となり、例えば夫が死亡して妻と子1人がいる場合は、4,200万円ということになります。また、配偶者の場合は法定分あるいは遺産が1億6,000万円以下なら税はかかりません。
他には、「小規模宅地等の特例」「死亡保険金」「死亡退職金」「贈与税」「未成年者」「障害者」などがあり、そのうちの「小規模宅地等の特例」というのは、居住または事業用の不動産を相続が引き続き利用する場合に、この特例を適用することによって土地の評価額を8割まで下げることができるものです。例えば5,000万円の土地を持っていたとして、この特例を適用すれば最大で4,000万円下げることができ、土地評価額は1,000万円ということになります。
相続が発生した場合に権利を承継する者について
誰に遺産を受け継ぐ権利があるかについては民法に定められており、法定相続人は配偶者と血族相続人に分類できます。配偶者は相続順位の枠外にあるため本人が亡くなった場合には必ず遺産を承継できますが、内縁関係の相手や離婚した相手などには権利がありません。血族には生物学上の関係があるものと養親子などに法律上の関係があるものが存在しますが、いずれも同じように遺産を承継できます。配偶者の親戚や親戚の配偶者など婚姻関係によって成立する姻族は、血族ではないため財産を承継できません。
財産権を得る者には優先順位が決められており最も優先されるのが子で次が直系尊属、最後が兄弟姉妹です。子が既に死亡していた場合には孫や曾孫などが代襲や再代襲することがありますが、兄弟姉妹が亡くなっていた場合に代襲できるのは子だけです。直系尊属のうち財産を承継できるのは最も親等が近い者で、両親が存命の場合に祖父母が受け継ぐことはありません。